日本歴史と雑事記録

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絵画鑑賞(漱石の牛)

↑は、普通は「漱石の考える牛」と評されますが、正しくは「坂本繁二郎のうすれ日」と言うのです。坂本繁二郎が大正元年の第6回文展に出品した時に、この絵を見た文豪の漱石が「考える牛」と評したのが始まりです。


文豪の漱石が言うには、自分は牛の油絵は好まないし、しかもこの牛は自分の嫌いな「黒白のブチ」だと言う。絵の枯れ木は、見すぼらしいしとも言うのです。然しながら、この画には奥行きが有ってこの奥行きは全て、この一匹の牛の寂ばくとして野原に立っている態度から出るのである。牛は沈んでいる。もっと鋭く言うなら「何か考えている」と言うのです。


文豪の漱石に、この様に評された坂本繁二郎は、ただニッコリと笑みを浮かべるだけだったと言われます。


尚、この絵は海縁の原っぱに牛が一頭繋がれていて、右方の枯れ木に繋がれています。又、左方の枯れ木の小枝には綱が絡まっています。この絵は、画家坂本繁二郎の内面を表したもので哲学的ですし、更には文豪漱石の評した中には、我々凡人には理解不能なようです。一見すれば、単純に「へたくそな絵」にしか見えません。我々は、凡人で良いのです。

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